揮毫者 朝永(ともなが)振一郎理論物理学者。量子力学でノーベル賞受賞。平和運動などにも尽力した。
つぬさはふ
磐余も過ぎず 泊瀬山
いつかも越えむ
夜は更けつつ
万葉集巻3-282 春日蔵首老(かすがのくらのびとおゆ)
夜は次第にふけてゆくのに、まだ磐余のあたりも越してはいない。こんなことでは、いつになったら泊瀬山を越すことができるだろう。
☆古く磐余道は安倍文殊院付近を通って、南は飛鳥へ、西は藤原京へ通じていたのであろう。急ぎの用事を帯びた心もとない作者の感懐も追想される。
春日蔵首老続日本記の大宝元年三月十九日の条に僧弁紀を還俗せしめ、姓を春日蔵首(かすがのくらのおびと)、名を老(おゆ)と賜り、追大壱を授かるとある。
歌碑の場所 30番安倍文殊院の池に面して文殊院西古墳の墳丘裾に建つ。