10.大和は国のまほろば・・・

揮毫者 川端康成 
小説家。日本的叙情文学の代表的作家。短編小説の名手として国際的に知られた。代表作に「伊豆の踊り子」「雪国」等。ノーベル文学賞受賞。

大和は 国のまほろば

たたなづく 青がき

山ごもれる 大和し 美 (うるわ)し

  古事記・中巻 倭建命

歌の意味
やまとは国の中でいちばん良いところである。幾重にもかさなりあった青い垣根のような山やまにかこまれた大和はほんとうにうるわしいところである。           

倭建命
日本武尊・小碓命(おうすのみこと)父は景行天皇、毋は播磨稲日太郎姫(はりまいなびおおいらつめ)とされ古代伝説の英雄。小碓命は景行天皇の皇子の中でも最も武勇に優れ人望も厚かったので次の大王と目されていたが、その声望を妬む父に疎まれたといわれている。

大和朝廷が三輪の地にあった四・五世紀頃は、日本列島の各地には朝廷の権力に服さない豪族が盤踞(ばんきよ)していた。特に強大だったのが東国の蝦夷(えみし)・九州の熊襲(くまそ)だった。景行天皇は小碓命を蝦夷征伐・熊襲征伐にむかわせることによって王権から遠ざけたといわれる小碓命に誅伐(ちゅうばつ)された熊襲の川上梟師(かわかみたける)は死に臨みその武勇を嘆賞しヤマトタケルの号を献じたとされている。

盤踞:広い土地を持って勢力があること。
誅伐:罪のある者を攻め討つこと。

歌碑の場所 10番
并寺池を仕切る堤のほぼ中央西斜面に、東面して据えられている。