歌の意味
長歌
なつかしい三輪山よ。この山が奈良の山々の間に隠れてしまうまで、また行く道の曲がり角が幾つも幾つも後ろに積もり重なるまで、充分に眺めていきたい山であるものを、たびたび振り返っても見たい山であるものを、無常にもあんなに雲が隠してしまってよいものだろうか。
反歌
名残惜しい三輪山をどうして雲があんなに隠すのか。人はともかく、せめて雲だけでもやさしい情があってほしい。あんなに隠すべきであろうか。
額田王
舒明天皇三年(632)頃の生まれと考えられ天智・天武両朝にわたって情熱の歌人として豊かな才能を発揮する。